導入

田端の駅を降りると、梅雨を目前に控えた重い湿気が、まとわりつくように夜の街を覆っています。帰宅して薄暗い部屋の電気をつけ、スマートフォンを開く。いくら待っても既読のつかないトーク画面を見つめるのは、私たちの年齢になっても決して慣れるものではありません。

今回は、少し苦い、一個人の検証記録ならぬ「失敗の記録」を共有しようと思います。夜の街で、特定の女性に感情移入しすぎてしまう。そして、ある日突然、見えない壁で遮断される。一人で飲む酒がいつもより苦く感じる夜に、この備忘録があなたの焦燥感を少しでも和らげることを願っています。

突然いなくなった話

恥を晒すようですが、少し前まで特定の若い女性に入れ込んでいた時期がありました。週末の予定を彼女のシフトに合わせて調整し、決して安くないお金を払い、店外でのテキストのやり取りにもそれなりの熱量を割いていました。「自分だけは、他の客とは違うかもしれない」という、50代が陥りがちな典型的な認知の歪みです。

しかし、終わりは前触れもなく訪れました。ある週末、いつものように予約を入れようとすると店から「退店しました」と告げられました。嫌な予感がしてLINEを開けば、いくら待っても既読がつかない。メッセージを送ってもブロックされている。理由も、別れの言葉も、何一つ残されない見事なフェードアウトでした。

夜の女の子たちの事情

静かな部屋で一人になると、どうしても「自分の何がいけなかったのか」と己を責めるか、「あんな女」と相手を恨むか、極端な感情に振れがちです。しかし、心理的にもう少し離れた場所から観察すれば、彼女たち特有の構造的な事情が見えてきます。

夜の街で働く女性の大半には、明確なタイムリミットや目標が存在します。目的の額を稼ぎ終えた(目標達成)、特定の太客に囲われた(水揚げ)、あるいは親や彼氏に身バレして強制終了になった。彼女たちにとって、私たちはあくまで「その期間中の顧客」に過ぎません。LINEのブロックやアカウントの削除は、過去の労働環境をリセットするための、最も合理的で手っ取り早い実務的処理というだけのこと。そこに、私たちへの個人的な悪意など存在しないのです。

オキニは複数持つべき理由

この冷徹な事実を前に、私たちがどう自己防衛すべきか。結論として行き着いたのは、「オキニ(お気に入り)は必ず複数持つ」という極めて実務的なルールです。

投資の世界で「一つのカゴにすべての卵を盛るな」と言われるように、一人の女性に感情と資金を集中投資するのは、私たちのような孤独な独身の50代にとってリスクが高すぎます。依存先を意図的に分散させることで、「この子がいなくなっても、まだあの子がいる」という精神的な防波堤を作る。この小さな余裕が、結果的に相手への重い執着や過度な干渉を抑え込み、私たちが最も求めている「大人の距離感」を保つことにも繋がります。

結び

誰かの一番になることを静かに諦め、システムとして感情の依存先を分散させる。そんな冷徹な防衛策を徹底したことで、皮肉なことに状況は大きく変わりました。

ガツガツとした執着を手放し、一定の距離感を確立した現在では、辞めた後も個人的に連絡が来るようになった。理由はよくわからないが、執着を手放したことと無関係ではないと思っている。痛い目を見たからこそ辿り着けた、この静かな逆転現象もまた、一つの事実ベースの検証結果なのでしょう。

遠くで雨が降り始めた音を聞きながら、今夜はこのあたりでPCを閉じることにします。お互い、地味にやっていきましょう。

※執着を捨てて立場を逆転させ、辞めた後も連絡が来る関係を構築した心理テクニックについては、noteにひっそりと記録しています。

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です